ブログトップ

TAKASHI TSUDA / hofli WEB SITE

hoflisound.exblog.jp

カテゴリ:hofliの作品( 15 )

hofli 『木漏れ日の消息』

【hofli『木漏れ日の消息』発売】
d0203641_0263010.jpg

d0203641_153536.jpg


hofliのあたらしいアルバム『木漏れ日の消息』リリースしました。

お問い合わせ、お取り扱いのお申し込み、個人的な購入、などなど、ご遠慮なく当方までメールをお願いいたします。お取り扱い店情報(2016年9月25日現在)は、最後に掲載しています。


*

hofli『木漏れ日の消息』


このアルバムは、2015年が終わろうとしている冬のある日に録音を開始し、2016年の初夏を迎える頃にひととおりの完成をみた。すべての音は、アルバムを作ろうと思い立った後にそのために録音されたものである。

水を入れた巻貝の貝殻が鳴る音、石が転がる音、離島で録音した音。 このアルバムは、主にこれらの音の「響きと聴こえ」から構成されている。

「響きと聴こえ」というのは、もともとそれらがなんの音であったかということは問題ではない、ということだ。

それらが鼓膜をふるわせるまでの間に、天気、風向、風力、気圧、気温、湿度、などによって変調され、潮の匂い、旅先のカフェで排気ダクト越しに聴いたダブ、北の友人からの便り、曖昧な記憶の断片、草いきれと野分け、ある遠さと近さに関する考察、などの事象を呼吸し、木の葉を通して地面に投影され、しかしそれは心象風景や意匠ではなく、音それ自体のふるまいとして立ち現れたものである。

このアルバムに収録された音は、だから、物理的な音であると同時に天候や空気の匂いや幻影の漂着物でもあり、つまり、木漏れ日の消息なのだ。


01 南へ!
02 ある測候所
03 星を結う人に
04 午後の魚
05 環礁
06 アズライト省察
07 夜の思想


hofli / Takashi TSUDA
http://hoflisound.exblog.jp/

composed, recorded and mixed
by hofli / Takashi TSUDA
@ PNdB-atelier winter 2015 to spring 2016

マスタリング:庄司広光
アートディレクション/デザイン:drop around

税抜定価2000円(税込み2160円)

ⓒ ⓟ Takashi TSUDA / hofli 2016 all rights reserved


hofli『木漏れ日の消息』お取り扱い店情報(2016年9月25日現在、順不同)

FALL(西荻窪)
knulpAA(石神井公園)
Promenade(吉祥寺/オンライン)
ftarri(水道橋)
gift_lab GARAGE(清澄白河/オンライン)
Amleteron(高円寺)
Art&Spaceここから(外苑前)

M&W by drop around(札幌)
design labo necco sendai(仙台)
GALERIE Noyau(金沢)
iTohen(大阪)
紙片(尾道)

Record Shop "Reconquista"(オンライン)
Pastel Records(オンライン)
Art into Life(オンライン)
雨と休日(オンライン)

今後、お取り扱い店が増えましたら追加掲載していきます。

なお、一時的に在庫切れになる場合もあります。
在庫状況に着きましては各店舗にお問い合わせください。






















.
[PR]
by hofli_works | 2016-05-11 00:25 | hofliの作品

hofli 『十二ヶ月のフラジャイル』

『十二ヶ月のフラジャイル』通常盤が出来ました。カレンダーとしても使えるハーフサイズのカード12枚封入。2016年5月より販売しています。

hofliのあたらしいアルバム『十二ヶ月のフラジャイル』がリリースされました2014年10月13日リリース元であるdrop aroundの新しい拠点M&W(札幌)でのサウンドパフォーマンスを先行発売とし、2014年10月24日東京・書肆サイコロでのサウンドパフォーマンスでも販売いたします。その後、10月26日ごろから順次お店でのお取り扱いを開始します。
このリリースに合わせたイベントは、12月にかけて札幌、東京、福岡、関西と巡ります。ワークショップのみ、またサウンドパフォーマンスのみ、あるいはその組み合わせのツアーとして、各地でお披露目いたします。今後詳細整い次第アップしていきますので、どうぞ情報お見逃しなく。

2015年春には甲賀、金沢、仙台、盛岡公演を開催。(2015年追記)


*
d0203641_12354183.jpg
hofli / 『十二ヶ月のフラジャイル』

d0203641_23214996.jpg
d0203641_23242427.jpg


収録曲

01. 薄明のエーテル
02. にびいろ
03. 三月の水辺
04. 真珠星
05. 残丘
06. 夏至を忘れる
07. 分水嶺
08. 星を映す地図
09. 月光採集
10. O岬灯台にて
11. 渡り鳥と天気管
12. シベリア気団より

*
このアルバムは、デザイン・ユニットdrop aroundによる「音のカレンダー」という発案に基づいて制作されたものである。当初は、いつもお世話になっている彼らに協力するくらいの軽い気持ちで、これまで録りためたフィールドレコーディングのアーカイブからカレンダーに添える音源を選んでもらおうと考えていたのだが、いざ話が進んでみると、drop aroundに完全に乗せられてしまったようだ。カレンダーの付録として季節の音がくっついている、のではなく、むしろCDにカレンダーがついているイメージと言われ、月ごとの楽曲きっちり12ヶ月分が入ったアルバムを仕上げる按配になったのだった。drop aroundについていくと、いつも見知らぬ風景に出会うことになる。さすがは旅するデザイン・ユニット、彼らの視点やものつくり自体が旅人の眼差しなのだ。

カレンダーとして発売する必要上、秋には完成していなければいけない。だから秋や冬の訪れを待ってその季節の音を録音していたのでは、発売はもう一年先になってしまう。結局はフィールドレコーディングそのものではなく、これまでの手法をあらためて振り返り吟味しながら方向を探ることになったのだが、drop aroundはそんなこと最初から織り込み済みだったようだ。季節ごとのフィールドレコーディング素材を構成する、というアイデアだけはあったが、春だからウグイスとか夏だから蝉とか、そういうのは避けたい。季節は目に見えるものばかりじゃなく、進んだり戻ったり徐々に移り変わったりある日突然新しくなったりして進んでいく。そんな何気ない日々の暮らしのなかで、ふとした匂いや肌触りを感じるようなのがいいな。歳時記よりも、日々の日記のようなもの。

出来上がったのは、フィールドレコーディングに基づいて、モンタージュしたりコラージュしたり素材を変調したり楽器の音を加えたり、という「サウンドトラックもの」だが、フィールドレコーディングを削り出しただけのもの、つまりフォノグラフィー的なトラックも入っている。はっきりした景色が浮かぶものもあれば、滲んだ色彩のような雰囲気のものもある。季節とは関係なく聴こえるものもある。聴く時期によって聴こえ方が変わるだろうし、意外に冬の音を夏に聴いたほうが気持ち的にはしっくりきたりもするかもしれない。

ふとしたときに季節の移り変わりを感じるように、折々に思い出したように聴いていただけると幸いです。

*

01. 薄明のエーテル   一月
年明け早々のまだ暗いうち、とある白鳥渡来池まで車を走らせた。白鳥を驚かせないようにそっと機材をセットする。やがて空の一カ所に燠火のような鈍い赤が現れ、白々と夜が空けていくと360°見渡す限りの水田であることがわかった。遠く貨物列車が鉄橋を渡るころには、あたりに農村の朝の気配が満ちてくる。氷点下の気温に手足ともに感覚はなくなり、鳴き交わす白鳥の白い息を眺めながら、体温があることについて考えるともなく考えていた。

02. にびいろ      二月
2014年2月に開催した鉱質インクと音の滲みによるインスタレーション『にびいろ』。その音源を再構成したものである。雪が降りそうな蒼鉛色の空、水が凍ってゆく過程のように、時間はみぞれのように結晶していく。そんなイメージで制作したのだが、実際に、展示期間中に記録的な大雪に見舞われた。立春の頃、陽光の感じが変わるのがわかる。ひかりはあたらしく、空気は冴え冴えと澄んで、最も好きな季節である。

03. 三月の水辺     三月
三月の水というボサノヴァの曲があるが、ブラジルにも雪解け水はあるのだろうか。雪解けの青白い川の水を雪代(あるいは雪汁)というそうだが、このせせらぎは雪解け水ではない。マイク(水没させてもいいように安いマイクを使う)を水面ギリギリに近付けると、まるでプラスティックのような水音が録音できる。水の音をずっと聴いているとヒプノティックだ。ギターと水音をmax/mspで変調した音源は、相応しい出番を待ってHDに保存されていたもの。春の小川の音と合わさって馴染んだように思う。

04. 真珠星       四月
ワークショップ「みみをすます」のときに、散って生乾きになった桜の花びらが風で流されていく音を聴いたことがある。清浄な、荘厳な、うつくしい時間だった。そんなイメージどおりの音が録音できたらいいが、だいたいにおいて音の印象は脳内で再構成されたものである。あのときレコーダーを仕掛けてあったとしても、あの清浄さや荘厳さが録音できていたとは思えない。というわけで、このアルバム中この曲だけフィールドレコーディングを使わなかった。これはエレクトリックギターによる音響彫刻である。四月は桜が咲いたりツバメが来たりあたらしい年度が始まったり、何かと慌ただしいのだ。青くて暖かな春の宵は、そんな慌ただしさから離れて、静かに空を見上げていたくなる。真珠星=スピカは春の星である。

05. 残丘(モナドノックス)  五月
あるとき初夏の山に身を浸したくて矢も楯もたまらず、寝袋も用意せずレコーダーだけ持って檜原村に出掛けた。そのときに録音した音源(空が白みはじめてから陽がのぼるまでの間の音風景の驚くべき変化)があるのだが、あまりにドラマティックすぎて今回も結局その音源はお蔵入りとなり、かわりに、ぽそぽそと春の雨の降る地味な音源をmax/mspで変調し構成した。春にしては寒く東風が吹きつける緑の丘、濃い霧のかかった風景。宮沢賢治が描くモナドノックス、あるいはノルシュテインの描く霧の中のハリネズミの心象か。

06. 夏至を忘れる    六月
おなじ季節の、ふたつの異なる川のせせらぎのシチュエーション、ひとつは遠くヒバリやカジカが鳴いている。両方にホトトギスの声がうまく入ったので、それをカメラのパンのようにクロスフェイドさせて拵えた。これはインスタレーション『Optics of the Garden』で使用した音源を再構成したものである。フィールドレコーディングの世界では、録音したままの素材を「ストレート」、EQはじめ何らかの加工をしたものを「プロセス」と呼び、「ストレート」を至上のものとするフィールドレコーディング原理主義がある。しかし、映画のように編集し構成することも、ぼくにとっては興味深い手法なのだ。

07. 分水嶺       七月
ある山の頂上付近で録音した。マイクは草むらに転がしておいたのだが、かえってうまく地上付近のミクロな世界を捉えている。なるべく地上すれすれに顔を近づけて、小さな世界を覗き込んでみる。雪片曲線のように、拡大していけばそこにも同じように切り子細工のように世界が広がり、覗き込めば覗き込むほど世界はさらなる眺望を開示してくる。マイクロフォンによる世界の拡大は、フィールドレコーディングの面白さのひとつである。ぼくはというと、ヘッドフォンをはずして少し離れたところで顔に麦わら帽をかぶって昼寝していたのだった。ここでのギターはぼくが見た夢の断片ということにしておこうか。

08. 星を映す地図    八月 
晩夏の沖縄、もちろん陽射しは圧倒的に強いが、やはりそれは南国なりに晩夏なのだ。陽が落ち、見上げると満天の星空、珊瑚の白砂の細道がずっと向うまで仄光って見える。アダン葉ぞうりの感触、フクギ並木の樹上には何かの虫が高い周波数で鳴いている。フクギの実を食べに集まったリュウウキュウオオコウモリ。静謐ではあるが、魑魅魍魎が潜んでいるような、ただならぬ気配。キジムナーにいたずらされないように、息を潜めて宿に帰った。

09. 月光採集      九月
月夜のすすき原。エレクトリックギターによるアンビエントものと言えるが、徐々に耳が開き虫の音がよく聴こえるようになっていく、という心象のスケッチとして構成した。心はいつも曖昧で不定形な輪郭をもっていて、気温や湿度と解け合っている。夏が冷めて白露にぬれた下草の感触、光がなんて青いんだろう。サウンドスケープを聴いて感じる心象風景は、それぞれの体験や身体感覚と結びついているのだと思う。夏のほとぼりが冷めていく身体感覚。

10. O岬灯台にて    十月
岬や灯台に惹かれる。海に向かって開かれてはいるが、世間からは閉ざされた静謐な世界。フィールドレコーディングを目的に何度も同じ場所を訪れるのは確実な方法だが、O岬にはこのときの一度しか訪ねたことがない。旅先で二度と遭遇することのないシチュエーションがたまたま録音できることもある。こんなふうに風が凪ぐというだけのことでも、しょっちゅう訪れるわけにいかない場所では貴重なチャンスなのだ。冒頭の音は、後半に出てくるフィールドレコーディング素材をmax/mspで変調したもの。新しい手法を模索する一方で、こんなふうにこれまでずっと続けてきたやり方でまとめることにも、常に新鮮さはあるのだとあらためて思った。

11. 渡り鳥と天気管   十一月
この曲のモチーフは他のアルバムで聴いたことがある人もいるだろう。それを、まるで天気管の中の結晶世界を耳で眺めるような音響として構成したものである。窓の外には渡り鳥の気配がして、たっぷりの紅茶をいれたポットがあって、天気管を眺めるうちに、自分もその中の住人となって、あたりの音にみみをすましている。秋が深まるにつれてインドアな気分になってくることもあって、秋の音というとあまりフィールドレコーディング素材からピンと来るのがなかったが、ダクトのモーター音にうまく馴染んだのは、冷蔵庫のうなりと同じく50Hzという電源周波数とこの曲のキーが共鳴するからなのだろう。

12. シベリア気団より  十二月
気象通報を聴くのが好きだ。天気図を俯瞰的に眺めるよりも、ここからの近さ遠さを思い、地点をひとつひとつ想像しながら辿っていく感覚が音楽的で好きなのだ。ある晴れた冬の日、風の強い朝早く、レコーダーを持って近くの雑木林に自転車を走らせる。もちろん、風の音を録音するのはむつかしく、マイクの吹かれノイズを回避するのは至難の技だ。風が遠くの音を運んでくる。信号が変わり、鳥が横切り、セスナがやってくる。すべての出来事は風の動きと関わりがあるように連動していて、世界は不思議に満ち満ちている。ここ、と、どこか。近く、と、遠く。シベリア気団より、冬の知らせを受信する。




hofli『十二ヶ月のフラジャイル』お取り扱い店
(2014年12月18日現在)


M&W by drop around(札幌)

http://www.droparound.com/mw


pastel records(奈良・online)

http://pastelrecords.cart.fc2.com/ca19/35/p-r-s/


reconquista(online)

http://www.reconquista.biz/SHOP/DR002.html


knulpAA gallery(東京・石神井)

http://www.knulp-a1.com/knulpgg/


雨と休日(東京・西荻、online)

http://shop.ameto.biz/?pid=84665871


gift_lab(東京・清澄白河)

http://www.giftlab.jp/


iTohen(大阪・本庄)

http://www.skky.info/


toori(福岡・早良)

http://toricoffee.info/


ftarri(東京・水道橋)

http://www.ftarri.com/suidobashi/


書肆サイコロ(東京・高円寺)

http://www.frimun.info/saicoro/









































.
[PR]
by hofli_works | 2014-07-08 10:10 | hofliの作品

hofli index

hofli『Biometeor』

hofli『Anima』

hofli『水の記憶』(2011年CD化!)

hofli『海の呼吸』

hofli『sounds for 15 minutes snooze』

hofli『雑木林と流星群』

hofli 『LOST AND FOUND』

hofli『十二ヶ月のフラジャイル』

*

Quinka, with a Yawn + hofli『Time Flies』

*

hofli初期作品

*

■ hofli参加コンピレーション

『a certain aquarium』(360°records)

『water music』(commune disc)

『TASOGARE LIVE IN TOKYO』(12K)NEW!
d0203641_1633112.jpg

























































.
[PR]
by hofli_works | 2013-12-31 19:11 | hofliの作品

hofli 『LOST AND FOUND』

d0203641_09473572.jpg

hofli『LOST AND FOUND』2013年、RONDADEよりリリース。
試聴はこちら

hofli『LOST AND FOUND』全15曲入り

all tracks improvised, processed, composed, recorded, mixed and edited by hofli / Takashi Tsuda between 1997 to 2013
hofli played electric & acoustic guitars, steel pan, sound objects, soundscapes, electronics, max/msp programming
mastered by Hiromits Shoji at sara disc on 24th may 2013
artwork designed by prelibli


*
胸がざわざわしている
そう ほんとうはあれはこんなふうに流れでていったんだ
静寂に横たわる からだのあちこちから気泡が天井に上がって ちいさな水の輪が幾重も

花衣(モデル)

*
hofliの前作『雑木林と流星群』が眼を閉じて外に耳を澄まし、そこに結ぶ景色を浮かび上がらせたのに対し、今回の『LOST AND FOUND』は眼を開き外を見つめながら、内へと耳を凝らし、血流の脈動や神経の高鳴り、思考や感情の移り変わりを音のつぶやきとしてとらえている。だからそこに風景が結ぶことはない。寄り添うべき枠組みはなく、代わりに五感を触発する響きが戯れ、聴き手は一人ひとり景色のない物語を編み上げることになる。指先に触れてくる電子音、鼻腔をつんとくすぐるギター、がらんとした空間に滲む暗さ、枯れ葉を踏む足音の向こう鳥が囀り、ゆっくりと日が暮れていく。ぜひ窓を開けて、外から入り込んでくる音とともに聴いてほしい。

福島恵一(音楽批評)



各曲覚書

1.
当初、植物園を舞台とした(架空の)映画のサウンドトラックとして仕立てようという構想があり、この曲はその名残である。植物学者が森に分け入っていく後ろ姿、この導入のシーンから映画は始まり、植物学者をめぐる物語が淡々と綴られていく。なぜ植物なのか。今年春に訪れた南方熊楠の資料館のイメージがあったのかもしれない。思いもかけない方向に繁茂し生成していく矛盾と複雑系のエネルギー。しかしこのイメージは「LOST AND FOUND」というテーマの中、全体像が掴めない断片の集積という方向にまとめられることになった。最後のフェイドアウト部分で微かに聴こえる熱帯鳥の声は、今は閉館してしまった井の頭自然文化園の温室にて録音したものである。

2.
とあるコラボレーションのために用意した音素材に、新たに水の入ったガラス瓶の音を加工して再構成した。シーンは植物学者の研究室だろうか、おびただしい実験器具が並び、試験管からは気泡が浮かび上がり続ける。そこから何かが始まるようなオープニング部分の音響を意識している。研究室の磨りガラスの窓に映る空の色は、研究に没頭した夜明け前だろうか。

3.
このアルバム中、最も古い音源のひとつ。その頃ぼくは阿佐ヶ谷のアパートに住んでいて、体験型インスタレーションを作るユニットの構想を練っていた。ある日、誰もがやるようにギターをハウリングさせたりエフェクターを数珠つなぎにしたりして変わった音を出したりして遊んでいた。根を詰めて作業をしてふらふらになって寝転がると、少し開けた窓の隙間から積乱雲が見えた。

4.
たしかボサノヴァのコード進行が気になって、7thや9thを多用した幾つかのコードの組み合わせを演奏し、またギターの音の断片を加工して重ねて作った。心地よい不安だとか、甘美な居心地悪さだとか、そんな相反することに興味があったころの作品。当時この曲のデモを竹村延和氏に送ったところ、きちんとハガキでお返事をいただいたのだが、音源は今の今まで引き出しの奥で眠ったままであった。

5.
これも相当古い音源である。電池駆動の小さなおもちゃのアンプを、ギターのブリッジ部分に引っ掛けてハウリングさせて遊んでいた。放っておくと共振し始める弦がいくつかあることに気づき、それを順々にミュートしながら演奏した。その音源を素材に、また何重にもエフェクトをかけて徐々に形成していった音響彫刻のようなものである。この音は、僕にはなぜか深山幽谷の気配を感じさせる。霧が流れ、時折緑深い山肌が見える。

6.
日常の中の名付けようもない違和感や気持ちの暗がり。閉ざしたカーテンに、空を横切る鳥の影が映る。ブナの林に囲まれた、サナトリウムの退屈さ。これはアルバムの制作中盤になって録音した曲で、オープンチューニングのギターをぼろんと弾いてできたものだ。映画の登場人物が退屈しのぎにギターを弾いている場面を思い浮かべたのだが、いかにもそんな感じにヘタクソなのが気に入っている。

7.
どこで録音したか忘れたが、かなりの低域まで拾っていた。

8.
古いビルに友人が構えていたアトリエの螺旋階段で録音したものである。螺旋階段、なんという魅力的なイメージだろう。友人たちに協力してもらって、音は螺旋を描きながら四階に上っていき、また螺旋を描きながら降りてきた。それは沈みゆくタイタニック号の中で輪舞しているような、誰もいない研究室のひんやりと澱んだ空気のような、不安定なあまやかさを含んだ時間だった。max/mspによるサウンドプロセシング。

9.
作業工程は覚えていないにもかかわらず、制作時の匂いのようなものがそのままよみがえってくるのだ。

10.
とあるギャラリーで演奏した曲。ライブの記録ではないが、古いハードディスクに保存されていた元の素材を使って仕上げたものである。鉱物界を旅するようなイメージだが、音源はギター。その頃から、シンセ音源を使う発想がなく、手近にあるギターの音をリアルタイムにいろいろ加工するのが好きだった。

11.
はじめての海外旅行で行ったロンドン。地下鉄の通路を歩いているとカリビアン移民達のバスキングに出会う。スティールパンが反響し、地上に出ると都会の喧噪に混じって教会の鐘の音が聴こえてくる。聞き慣れない異国の音風景に感動して夢中でフィールドレコーディングしていた。この曲はフィールドレコーディングのように聴こえるが、そのときの心象を再現するように自分で演奏し、その後ライブで訪れたローザンヌで録音した音風景とミックスしてある。裏テーマは「はじめての海外」。

12.
「失われ、発見された音源」とだけ記しておく。

13.
夏が終わってしまうという焦燥感なのか、幼い日の夏休みの朝のラジオ体操の倦怠感なのか。窓を狭く開けて外の音を聴いているような音像にしたくて、サウンドスケープはほぼモノラルに定位させたのだった。とある映像作品のために作った音源であるが、最終的に使われたのかどうかは知らない。

14.
我が家の古い冷蔵庫のうなりが日ごとに酷くなっていた。その冷蔵庫のそばでギターを弾くと、うなりと干渉して倍音が発生することに気づいた。それを元にギターのリフを考えてよく弾いていた。そこにアコーディオンとギターのフレーズを重ね、元のリフを引き算したものが、前作『雑木林と流星群』に収録した「暖炉と霜柱」であり、これはその引き算したほうの元のリフを仕上げたものである。したがって「暖炉と霜柱」と重ねてプレイすればまた別の曲になるはずなのだが、、、自分でも試してはいない。エンディングの音は、あるプロジェクトのために、とある工場跡の廃墟にて録音したもの。

15.
石垣島にてフィールドレコーディングした音源をmax/mspでプロセス。梅雨時の亜熱帯の湿気を含んだ潮風の匂い、夜明け前の群青の空。珊瑚砂の浜辺で、ぼくはレコーダーを回して息を澄ませていた。ふと、足元にガラスの欠片が転がるような音が聴こえはじめた。星明かりでよくよくみると、無数のヤドカリが歩き出したのだった。禍々しいばかりの生物の気配に息を呑む。やがて夜が明けはじめ、空は急速に藍が色褪せていった。この曲自体は、映画のエンディングとして冒頭のシーンと呼応するように意識して仕上げた。

[PR]
by hofli_works | 2013-10-21 19:57 | hofliの作品

hofli 『雑木林と流星群』

d0203641_11154843.jpg

d0203641_11171116.jpg
d0203641_11154964.jpg

2012年リリース、hofli名義での最新作。

2011年秋から録音にとりかかり、冬のあいだ毎朝、天候や風向の具合、部屋の温度と湿度を確かめ、灯台守が日誌をつけるような気持ちで制作しました。
2002年発表の『Biometeor』収録の「rittoh」のアイデア、すなわち「サウンドスケープを下地に演奏し、そこからベーシックとなった音のトラックを引き算する」という手法で制作したアルバムで、音源がひととおり完成したのは春先。必然的に、秋から冬にかけての気配を感じさせる曲が並びました。

各地での演奏や様々なセッション、ワークショップなど、ここ数年の私の音の旅をふまえた、まぎれもなく現在の私の作品になったと思っています。

マスタリングはいつものように庄司広光氏にお願いし、ライナーノート執筆を「のみの音楽舎」藤井友行氏に依頼。パッケージのデザインを含め、アートワークのすべてを『水の記憶』に引き続きdrop aroundの青山夫妻に仕上げていただきました。制作開始からおよそ1年、その前半は音楽家として、後半はプロデューサーとして仕事をしたことになります。

私の拙いアイデアや思いつきを完成に導いてくれた各氏に感謝いたします。

お取り扱い店舗情報は、こちらからご覧ください。

*

hofli 雑木林と流星群

収録曲

01: サワグルミの林で
02: 秋雨と水筒
03: ブランケット
04: 空を往く舟
05: 立冬
06: 暖炉と霜柱
07: コッホ雪片

[total playing time: 52:35]

型番 hoflicd 11 
販売価格 2,100円(税込)

PNdB-atelier
http://hoflisound.exblog.jp/
ⓒⓟ2012 hofli / Takashi Tsuda

*

hofli『雑木林と流星群』制作ノート


01: サワグルミの林で

タイトルは「サワグルミの林で」だが、実際にはうちの前のお屋敷の椎の樹が間欠的に落とすドングリの音を聴きながら構想した曲。ドングリの落ちるリズムは、ランダムなようでいて気温や湿度とも関わるリズムがあるのだろう。秋から冬へ、波のように季節は行きつ戻りつする。そのリズムが、おそらくドングリのリズムの下地になっているはずだ。最後のリフレインにK.O.のハミングを重ねたが、しっくりこなかった。理由は、その作業が「足し算」だからだと気付いたのは、ずっと後になってからだった。ところで、なぜタイトルは「サワグルミの林で」なのか。ツアー先で見た、ぼたぼたとクルミの実が落ちる場面の印象があまりに強く、いつのまにかイメージがすっかりドングリからすり替わってしまったようなのである。


02: 秋雨と水筒

フィールドレコーディング素材をもとにmax/mspによるプロセシングで作った曲。これまでもよくやってきた手法だが、いつもはもともとの音素材をどこかで使うようにしていたが、この曲では、もともとの素材となった音をすべて削除した。ひとつだけ種明かししておく、学校帰りの子供が空き缶を蹴っ飛ばす音をプロセスした。これまでmspを使った曲は、平均率ではなく、たとえば60Hzの倍音律にしていたりしたが(そうすることでしか出せない音色がある)、靄のかかったような風景には平均律をもとに揺らぎを作り出した方がしっくりくるように思えた(そういえばケージもイーノも純正律を嫌っていたらしいが、純正律の濁りのなさも、平均律の濁りも、それぞれ表現として意識すれば面白いものだ)。引き算によって、具体的な場面は想起できなくなり、かわりに季節の気配と気分だけが濃厚に残った。


03: ブランケット

屋根を修理する音が風に乗って聴こえてくる様子が面白くて録音してあった。この面白さは、木槌が板を打ち付けた反動が手に伝わって跳ね返り、また重力に従って木槌を振り下ろして、、という身体的なリズムの感触が音で伝わってくること。そして、この槌音のランダムさと、風による位相の変化。これをベーシックトラックとしてクリックのような役割で利用し、最終的にそれを削除した。聴こえてくるのはスティールパンの音だが、再生速度は落としている。


04: 空を往く舟

オートハープとディレイ二台だけで作った。この曲の原型は、友人のリトルブック・プレス「prelibri」の2012年4月に行われた展示のために依頼されて作った「sounds for 15 minutes snooze」とおなじものである。LR2chに一発録りしたもともとの長尺演奏の別の部分を、ほぼそのまま切り出したのだ。この演奏は、ジェット機の揺らぐ音が上空から降ってくるのにヒントを得て、エフェクトの掛け方を工夫した(コーラスやフランジャーは使わずに演奏中にディレイを微調整した)もので、そういう意味では、これもサウンドスケープを「引き算」する手法でこしらえた曲だと言える。


05: 立冬

そもそもの「引き算音楽」というアイデアを構想した原点とも言える曲で、この曲だけ2002年に既発表、CD-R『Biometeor』に収録されている。まだ『游音』をやっていたころ、まだラップトップでの演奏をメインにする前。思えばずいぶん昔だ。家の近所で録音したサウンドスケープ、善福寺川沿いの公園へと向かう路地、空にケヤキのシルエットがのびていて、冬を告げるジョウビタキが鳴いていて、落ち葉が地面を転がる音がして、遠くで犬が鳴いていて、、、そんな情景をベーシックトラックにして、風景と対話するかのようにギターを弾き、なにかのフィードバック音や手近にあったものの音などで冬の始まりの日の情景をなぞっていき、最終的にベーシックトラックを消去したのだった。そういえば、この曲ではじめて、今よく弾いているGretchを使ったんだっけ。


06: 暖炉と霜柱

Tene-Guitのアコーディオン奏者・一柳敦子さんが、よくライブ前に自身を落ち着けるために、アコーディオンで深い寝息のような音を鳴らしていた。彼女が使うアコーディオンはFADOの伴奏に使われるポルトガル製のものだそうだ。FADOでは歌手のコブシを邪魔しないようにアコーディオンのリードはビビリがないように調律されている。そのため音色も笙のように澄んだものだ。この曲では「干渉音」が興味の対象となっている。我が家の古い冷蔵庫のうなりが酷く、ギターを弾くと干渉して別の倍音が聴こえる。それがとても面白かったので干渉音が聴こえやすいコードをいくつか見つけて組み立て、リフを作って遊んでいた。それを土台にして別のアルペジオやコードを思いつき、ある日、一柳さんを呼び出して録音することにした。あらかじめ土台になるリフに合う音を選んでもらい、ゆっくりした間合いをとって深い寝息のリズムで即興的に弾いてもらった。最終的には、土台となったリフも、もう少し展開のあったコードも、すべて削除した。結果、みぞれが降って冷え込んだあの日の我が家の台所の雰囲気だけが残った。もちろん、うちには暖炉なんてない。


07: コッホ雪片

どうやって作ったか憶い出せない。とにかく冬のサウンドスケープ素材を、これもmax/mspで加工して作った曲、雪のイメージ。雪の結晶の自己相似形、湿気を含んだ風のない空を、重さのない白い一片が舞い降りてくる、もしくは、天高く上っていく。。。雪なのか、星なのか。人は雪になるのか、星になるのか。。 レクイエムのつもりで作りはじめたわけではなかったはずだが、結果的にそうなってしまった。

*

雑木林のシルエットが浮かび、空には気持ち悪いくらい星々がギラギラしている。ひときわ大きな星が現れ、つーっと流れる。流星群だ。里山で生まれ育ったぼくにとっては、そんな夜空は当たり前の景色だったのだが。
夏のツアー先で、ライブが終わった後みんなで寝転んで、そんな夜空を見た。たのしい想い出だ。 あるいはまた、ちょうどこのアルバム制作中の2012年の年明けに、益子に息抜きに出かけた。B氏と久しぶりにゆっくり語らって楽しい夕べを過ごした。夜空に雑木林のシルエットが浮かび、オリオン座がきれいに見えた。
環境と呼応しながら音を紡ぐ。そんな振る舞いに、フォークロアをみる。いつしかタイトルは『雑木林と流星群』ということでアイデアが固まっていった。
































































.
[PR]
by hofli_works | 2012-11-20 11:19 | hofliの作品

hofli『sounds for 15 minutes sonooze』

2012年4月、表参道gallery219てに行われた「prelibri」展「ROOM FOR PLAY」のために制作したオリジナル音源『sounds for 15 minutes snooze』。

「ROOM FOR PLAY」では、『sounds for 15 minutes snooze』、展示で使用したビジュアルをまとめたミニ冊子、展示作品をセットで販売。

d0203641_2333924.jpg









































..
[PR]
by hofli_works | 2012-10-23 21:03 | hofliの作品

hofli『Biometeor』

2002年度CD-R作品。

「Biometeor」とは「生気象学」という意味。一年の季節変化を通して移り変わる心象をテーマに、フィールドレコーディングした音素材をDSP変調した楽曲が中心になっている。

津田貴司名義『風の輪郭』製作を機に廃盤予定。

d0203641_17244552.jpg













.
[PR]
by hofli_works | 2011-11-30 17:24 | hofliの作品

hofli『Anima』

2003年度CD-R作品。

八重山諸島(石垣島、竹富島、黒島)旅行の際に録音したサウンドスケープのみを用い、DSP変調した作品。一日の気温や湿度の変化をテーマとして、薄明から深夜までの音風景に沿って構成されたドローン中心の組曲集。

『Biometeor』と同じく、津田貴司名義『風の輪郭』製作を機に廃盤予定。

d0203641_17292627.jpg















.
[PR]
by hofli_works | 2011-11-29 17:29 | hofliの作品

hofli 『水の記憶』

d0203641_17345154.jpg
d0203641_17352214.jpg
d0203641_17362100.jpg



2006年度、atelier drop aroundのためのサウンドトラックとしてCD-Rで限定部数製作された『水の記憶』。2011年1月、CD化しました。

新たに、皿disc・庄司広光氏にマスタリングをお願いし、drop aroundによる特製紙函パッケージ、中に8ページのブックレット封入。

drop around のホームページonline storeよりご注文いただけます。
また、CDショップ「雨と休日」サイトで試聴もできます。


以下は、CD-R盤リリース時のテキストです。

*

恵比須にある旅の雑貨店「atelier drop around」のためのサウンドトラックを作りました。

ここは「雑貨店」と言っても、こまごまかわいいものがあるわけではありません。
何年も前に旅行に着ていったままクローゼットに仕舞い込んでたパーカーのポケットから、ある日出てきたメトロの切符のように、適度に日常から切り離された記憶の断片が、ひっそりと並べられています。骨董みたいに気難しくはない、日用品みたいに気安くもない。錆びた金具だとか、古い椅子だとか、遠い異国の食器なんかが、ちょっと恥ずかしそうに、楚々とした佇まいで並んでいるのです。

まず思い浮かんだのは「水の音をコラージュする」というアイデアでした。「drop around」とは「ふらりと立ち寄る」という意味ですが、「水があちこちで滴っている」という勝手なイメージがふくらんでしまったようなのです。水のイメージが導いてくれるように、やがて風景が見えてきました。

水が滴り、やがて海になる。水の循環、ふと音連れる、何かの気配。。。

台所にマイクを立て機材を並べ、蛇口をひねって息を澄ます。
そうして録音した何種類かの水の音を変調し、それらの音を聴きながらギターを弾き、波の音と重ねてまた聴き。。。冷蔵庫のうなりや、排水溝の音なんかもかすかに入っています。
これは「atelier drop around」にふらりと訪れた水の分子が覚えていた記憶の断片でしょうか。

作ろうとしたのは、お店の「BGM」ではなく「サウンドトラック」です。
「BGM」ってえのが大嫌いで、お蕎麦屋の天井に立派なJBLなんかぶらさがってた日にゃあ涙が出てしまいます。おっと、これは山葵のつけすぎだったかな。でも、そこに必要のない音をわざわざ付け足す必要はないでしょう?というわけで「サウンドトラック」は想像以上に難しかったのです。

旅の断片なら、「atelier drop around」に並ぶ品々が雄弁に物語っています。その上さらに音で語ってしまっては、せっかくの旅の記憶がかき消されてしまいます。
饒舌な音であってはいけない。他の場所でも聴ける心地よいだけのものであってもいけない。
お店に並ぶものたちに、そっと添いながら空気を満たすもの。。。

考え込んでいては作業は進みません。
だけど悩む時間はたのしい。ありあわせの答が出ればうれしい。
なるだけ音そのものが好きに遊べるように、丁寧に音の意向を聴くことにしました。

結局できたものは、ぼくのソロ作でもあり、お店のための音楽でもある、音の断片集のようなものでした。

皆様の鼓膜で、どう響きますことやら。


hofli / 『水の記憶』 sounds for " atelier drop around "

収録曲

01:摩り硝子
02:雫
03:天気雨
04:ハッカ水
05:汐
06:露草
07:虹

[total playing time: 47:49]

型番 DR-001 
販売価格 2,100円(税込)
































.
[PR]
by hofli_works | 2011-11-28 00:00 | hofliの作品

hofli『海の呼吸』

2008年3月、葉山にあるギャラリーhacoでの個展『海の呼吸』に合わせて制作・限定販売した音源。
波の音の周期にしたがって演奏したギターのフレーズが反復する組曲。
廃盤。

d0203641_12235749.jpg






























.
[PR]
by hofli_works | 2011-11-27 12:23 | hofliの作品